精神科医の外来マニュアル
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00:00 OP
️00:51 困りごと、原因、解決策
️07:42 認知・モデルの歪みは?
12:38 情動的葛藤の抱え方
️17:57 本日の宿題
本日は、精神科医は何をしているのか、精神科医や心理士は何をしているのか、それをAIに落とし込むとき、プログラミングに落とし込むときにどういうものが必要なのか、ということをお話しします。
難しい話になるので、プロ向けの要素もあるので、いつもとは少し変わった動画なんですけど、最後まで見ていただけると精神医学のことがよくわかるかなと思います。
僕が外来でどんな感じで患者さんを診ているのか、どういう風な話の展開に持ち込んでいるのかということをお話しします。
◾️困りごと、原因、解決策
まず最初に、オープンクエスチョンで、何に困ってますか?症状はどうですか?今どういうことで困ってますか?と聞くんです。
この時に聞くことは何かというと、今の症状から診断は合っているのか、薬の副作用はあるのか、ないのか、薬の変更は必要か、そういうことを聞きます。
医学的な問題なのか、それとも精神疾患ではなくて内科的な問題なのか、精神科の臨床の問題なのか、薬の副作用なのか、そうなのじゃないのか、そういうことを最初に判断します。
患者さんというのは、基本的には主観的な情報を伝えてくるんです。
これは本人が悲観的に見すぎているな、情報を精査して客観的なデータに移し替えるという作業も必要なんです。
バイアスに支配されてないデータとして処理しなおす必要があるので、そういうことも頭の中でやっています。
結局、この腹痛は何なのか、食中毒の腹痛なのか、いや腹痛ではなくて実は心臓の痛みなんだけど腹痛として感知してるのか、他の感染症なのか、それとも心因的な腹痛なのか、ストレスから来る急性胃腸炎なのか。
こういうものは、色々な時系列やその他の随伴症状、色々なものを加味して決めたりしていますけれども、そういうことをやったりします。
ここの第一段階で薬を使うか使わないかで終わってしまう診療、ここで診療が終わるパターンの精神科医も多いのかなと思います。
じゃああなたはこの薬でいいですね、というお薬外来とは、ここで終わってしまうパターンです。
次の段階で、例えば初診から6ヶ月以上経っいたりすれば、手帳を取るのか、お金がいよいよ無いときは年金を取るのか、生活保護を導入するのか、環境調整はここでも行うかなと思います、福祉導入、福祉・環境調整というのを。
福祉・環境調整まできてたら医者としてはいいのかなと僕は思います。
ただ、もうちょっと踏み込んでいく、精神療法的なことをガッツリやるとなると、次の段階に移るんです。
ではこの症状が起きている時に、内科的な問題や薬の副作用ではなく、精神疾患から来てる場合は、何かしらの問題があって、ストレスや心身の疲労がたまり、今の症状が出ていたりするんです。
今の困り事を解決していかなければいけないので、症状に対しては薬で緩和したり、環境調整をするんですけど、今の困り事の問題がある場合があります。
そもそも今の困り事は何なの?と、あなたは今何で困ってるの?ということを聞きます。
本人がこれとこれとこれですと言える時は次に移るし、言えない場合は、じゃあ何があなたの問題なのかということを要素分解して解明していくということが必要です。
例えば7つのワークという形で、人生における7つの領域、お金の悩み、健康の悩み、家族の悩み、友人恋人の悩み、趣味の悩み、学びについて、仕事の悩み、色々あるんですけど、そういうものに分けて要素分解していきつつ、どこにその人が今悩みを抱えてるのかと判明させたり、24時間の記録をつけてもらう。
それを1週間、2週間分つけてもらって、どこの生活習慣、どういう時間の使い方をしてるから問題なのかを明らかにしていくということをします。
それに合わせて、次はどういう解決策が取れるのかということを考えます。
それは色々なプランがあると思うんですけど、こんなのわかってるよ、自分でできます、と言う人がいるんですけど、実際自分ではやらないですよ。
僕も片付けがわかってるけどできないし、言われないとできない。
僕もわかってるけど、見てくれる人がいないとできなかったりしたんです。
僕、医師国家試験の時に勉強しなかったんですよ。
僕らというか僕は、防衛医大でも成績悪い組で、僕はできることは結構できるんですけど、できないことは本当にできないという凸凹人間なんです、能力的にも。
暗記がめちゃくちゃ苦手で、全然覚えられないんです。
骨の名前とか筋肉の名前とか、薬の名前とか全然覚えられなくて、成績はそんなよくなかったんですけど。
僕だけじゃなくて成績悪いやつは結構いて。
そういう人たちは閉じ込められるんですよ、学習しろ部屋みたいなところに。
最近もあるかどうかわかんないですけど、当時、20年くらい前はそんなのがあって、相互監視なので、何時から何時までそこにいなさいよということで、宣言させられて勉強するんですけど、国試対策の人に。
今日は何ページやります、と言うんだけど、これもまあそういうのと似てますね。
だから別に誰が偉いとか誰が悪いとかではなくて、そういうのと一緒で、一回可視化する、しっかり可視化してやるべきことをやるということが大事だし、プランA、プランB、プランCと立てて、その中でそれぞれメリット、デメリットがありますから、どれをやるかを一緒に考えてみることがあります。
多くの患者さんたちというのは、たった一回の人生だから、デメリットの存在しない、メリットしか存在しないウルトラQみたいな解決策があると考えがちですけど、そんなものはないです。
ここら辺は結局問題を特定できているのであれば、AIの活用がすごく良くて、AIに答えを要素分解してもらう、AIに解決策を提案してもらう。
その中でどれがいいか考えるというのが大事です。
それぞれメリット、デメリットがあると。
AIをよく使えない人、意味がないという人は、このwhyやhowをうまく使ってないんです。
なぜこういう風に考えましたか? それはどのようにやるんですか?ということを繰り返ししつこく聞くということをしてなかったりします。
ストレスなのか問題解決なのか。
どういうストレスも感じてますか?これもAIが使えます、今の時点で。
◾️認知・モデルの歪みは?
そもそもこういうことをやれない、ストレスの原因がはっきりしない、問題解決策が提示できない場合は、認知やモデルの歪みというのがあるんです。
世界とはこういうものである、人間とはこういうものであるということの世界観に歪みがある。
ストレスの原因や問題解決策が特定できたり、第三者が特定できたり提案されても受け入れがたいんです。
精神科というのは基本的に、一番最初は妄想との付き合い方から始まっているんです。
自分たちは正しいと思ってるけれども、どうやら違っている。
その人は正しいと確信してるんだけど、どうやら周りの人が違うと言ってる。
そういうときに、どうやって自分はこれは妄想なんだと気付き、間違いなんだと気付き、周囲の人に合わせられるかというのが精神科の始まりなんです、そもそもが。
それこそその後、色々な病気のことがわかってきたりして、統合失調症であれば、妄想だった、普通のトラウマだったら、それは妄想ではなくて忘れがたい記憶の問題だった、発達障害の人であれば、それは特殊な妄想とかではなくて、この人たちの特殊な認知の仕方なんだ、部分的な知的な障害の問題だったんだ、という形で理解のあり方や解決策は変わってくるんですけど、基本的にはいかに自分が間違ってることに気付けるか、そしてそれをその間違った世界モデル、世界観を修正し、相反する矛盾した条件を組み込んで拡張していけるのか、陰謀論になるのでもなく、世界観をすり替えるのではなく、右から左に平行移動するのではなく、矛盾した世界観の二つを内包した大きい世界観にできるかというのが治療なんです。
このモデルの歪みを特定し、修正していくのがいいです。
じゃあどういう風に修正していくのかというゴールは、基本的には美徳というものを意識した方がいいんです。
日本人であれば、仕方がない、仏教的な世界観、禅、そういう我々の常識というか、カルチャーの中でうっすら残っている美徳というものを追求することが結論としては望ましいです。
それはなぜかというと、美徳というものの中にあらゆるエッセンスが詰まっているし、そして美徳を追求していくということは他人からも評価されやすいし、受け入れられやすいんです。
だから原則はそこを目指すというのが全部いいんです。
結局どんな論文読んだって美徳に近づくんです。
その研究者のバイアスというのもあるのかもしれないけれども、基本的には美徳を目指すという形で問題ないわけですね。
★動画の文字起こしはこちらのnoteに【全文掲載】されています。
https://note.com/wasemenblog
(文字起こし自体がない動画もあります)
17 comments
わっ!今ちょうどその本読んでる最中📕マーカー引きながら勉強してます。
>「どうやって自分はこれは妄想なんだと気付き、間違いなんだと気付き、周囲の人に合わせられるかというのが精神科の始まり」・・・それは、ある種の洗脳ではないですかね?EQを高めて、どのような時にどう対応して、どう振る舞うのかを教えた方が効果的だとは思いますが。
>「仏教的な世界観、禅、そういう我々の常識というか、カルチャーの中でうっすら残っている美徳」・・・その仏教的な世界や美徳についても精神患者さんたちは「認知の歪み」で何が美徳なのか?何が仏教的な世界なのか?についての誤って解釈されると思うです。まず、益田先生が行っている「美徳」を具体的に説明した上でないと彼らには通じないと思います。何が益田先生にとって「美徳」なのか?実際に何を「美徳」として行っているのかを次回のYOUTUBE動画でご説明して下さい。
>お金がいよいよ無いときは年金を取るのか・・・年金をもらえば生活できるって発想を改めた方が良いと思います。年金受給できる年齢(65歳以上)で働いている人は年金の受給額が少なくてそれでだけでは生活できない人だし。今の時代、厚生年金と企業年金を合わせて受給している人は豊かな生活を送れますが、厚生年金だけでは夫婦揃って受給してどうにか生活できる程度ですよね。もう少し年金について学んで頂きたいと思います。益田先生のそれも認知の歪みの1つかも知れません。
そう言えば、少し意味が違いますが「言葉の刃」という言葉があるぐらいですから、精神科医の仕事って、実は「外科的なもの=手術」に近いのかも知れませんね。
言葉は、悪く使うと人の命を奪うこともあるけれど、きちんと技術や知識のある人が「メス」として扱えば、人の命を救うことにも繋がる…
何かそんな気がします。
私は、病院勤務になる前に、半年+半年、違う仕事をしていました。最初のところは、天下り先の検査関係の仕事だったので、マニュアル通り働くのがベストだと思って、教えられた通り働いていましたが、次が最近「マスゴミ」なんて言われてしまっていますが、ゴミではない某放送局にいて、その時はマニュアルは大切にしながらもオリジナリティーあふれる仕事をしたいと思っていました。
病院は…どうなのかなぁ…本当にマニュアル通りでいいのかな?と自問自答しながら働いている感じで…
だから、私にとっては、答えがない、答えが見つからない、が答えです。輪を乱すのは良くないと思いますが。
【 メモ 】
●何に困っていますか?
医学的な問題なのか?内科的か精神科的か?等を診る
薬を必要としているかどうか?で終わる場合もある
福祉・環境調整を行う
要素分解してしていく
●どういう問題の解決策があるかを考える
可視化する、プランを立てる(メリット/デメリット等)
●認知やモデルの歪みを特定・修正していく
常識に支配されず、美徳に近付くよう目指していく
●人間にしかできないこと「情動・葛藤の捉え方」
暴露療法やマインドフルネス等でトレーニング
主観的→客観的
慣れも大事
これはAIには出来ないこと
先生は副鼻腔炎か?声も高くて、難しい話と声質が合ってなくて内容が頭に入って来ない。深みのある声作りをしてほしい。
情動的葛藤…。
ADHDとASDの併発で、もう既に、パワハラ等でトラウマを植え付けられてしまったので、前の職種には戻りにくいという事ですかね。
モデルの表の例え、まさに自分でした。子供時代のいじめはやっぱり自分はダメなんだってことに繋がっているんですね。また、私は人との交流が少なく人も怖いと思ってるので自然と人と距離を置いて生きてきたためコミュニケーション能力も不足してます。
自分はダメじゃないということを自分もしくは相手に修正してもらうのですね。認知行動療法や人との交流の機会を増やすことで練習を積み重ねてモデル(?)を変えていけるようにしていきたいです。また、それが成功体験につながり自己肯定感を高めることにも繋げたいです。
益田Dr.は何でも出来るからAIに助けて貰ってるなら良かったと思っています。治療者にとって便利なマシンがAIだと思っています。
私は使いませんが。
常日頃、主治医がどう感じているのかな、とか、他の人は診察でどういうお話をしてるのかな、とか、気になっていました。
それで見始めたんですけど、改めて、治療ってどういうプロセス?なのか、みたいなのがホワイトボードでみられて、少しだけ自分のこととしてもイメージができて、よかったです。
「オープンハートにして人と関わる経験」というところが、いちばん心に残りました。
多分もう無意識に心が閉じて守りに入ってしまっていて、オープンハート、できるようになりたいです。
他ではきけないお話、ありがとうございました。🙌🏻☕️🌿
私の主治医と益田先生との大きな違いは、「自分で勉強しなさい」的な事を言うか言わないか、だと思います。
益田先生の動画を初めて視聴した時、最初に感じたのは「頭がパンパンな時はそんな学ぶ余裕ないよ」という項垂れでした。
今は『こころの学校』もあるし、配信終了すればいろいろ考えたりするけども、うーん…なかなか能動的に勉強するのは難しい気もします、勉強しますけど。
だから、最初は受動的勉強でも良いかなと思っています。
知ることは、辛いけど楽しくもあります。
今は、何もしていない時よりマシです。
それにしても、益田先生はマジ熱いですよね🔥
いつもありがとうございます
認知の歪みは他者との関わりの中で気付くことがあります。マインドフルネスは日課にしてますが、自分と向き合い気づくことより、他者とのすれ違いなどにより、自分の認知の歪みに気づきます。宿題📔
今日は"こころの学校"でも隠してたトラウマが出て来ました。暴露療法が必要かと思いました。
身体の歪みは整体出直してもらいますが、認知の歪みやトラウマを解消するには、自分が変わらないと始まらないので、無理せず少しずつ行ってみます。ありがとうございました🍀
🌈今晩は🌈😊
🌸とても分かりやすかったです。
妄想・スキゾ・トラウマ記憶・発達特殊な認知の仕方・部分的な知的の疾病、のながれについて。
政治と法律とのかねあいについて。
他の先生方への配慮もありつつ
というか、台本とかをみずにイメージを日々日頃から、整理整頓やアップデートをしながら説明ができるって憧れます😃。
🍀情動的&葛藤(美徳(性質&気性))の次のフェーズの
霊性(霊的)と自然のながれによる循環も
あればなぁーと思いました。
🏞️ありがとうございました。
こんばんは🌙本日もありがとうございます
私と主治医のやりとりが動画内で先生のおっしゃる流れに沿っているなと改めて主治医の素晴らしさとスキルにより尊敬の念を抱きます😊
【宿題】情動的葛藤について
→今回も少し難しかったので益田式メソッドAIに少しお手伝いしてもらいました。
日常生活や主治医とのやりとりやら様々な場面で大なり小なり「情動的葛藤」ってあるなとAIの説明で日常を振り返り気づくことができました。
例えば、前回の受診時に主治医より「プールに通う回数を増やしてみては?」とアドバイスを受けましたが、日々の生活、仕事、家事、他の医療機関の受診等で思うように動けないと…これもAIによると「情動的葛藤」との事でした。
また、主治医とのやりとりの上で私は「主治医にデモデモダッテでめんどくさい奴と思われてしまったら」という不安も人間として当たり前の感情との事で少し安心しました。
人間関係や日常生活は不安や葛藤が山積みで考え出したらキリがないですね…💦
そういう出来事や世界観を1つにまとめるのも結構しんどいかも…人間のキャパシティも限界性がありますね😢
その限界値の中でいかに最適化させるか、その悩みを解決に導く手助けの1つがAIの役割だったり、精神科主治医の役割ですね。
少し話が逸れてしまいましたが、1つ学びになりました😊
おつかれさまです😊
ありがとうございます
情動的葛藤の抱え方…私の体調はここ数ヶ月は安定傾向にありますが、最近孤独について意識が向くようになり不安感が増してきているかもしれません。コロナ禍を機に人付き合いが自然と減ってしまい、時々たまらなく、わぁーっと泣きたくなるのです。どうしようもなく寂しい気持ち、勇気を振り絞って何とかしたい…運動やマインドフルネスは日々続けています。誰かと接する機会を持てばいいのか、でも勇気がいる作業で難しい。ぐるぐる思考になってきています。今度主治医にも話してみます。